【続】俺様王子と秘密の時間
◆禁断の部屋で
――恋の苦味が蘇る。
大切な人を大切に出来なかった。
自分が傷つけたクセに自分の胸が痛むなんて。
ズキッ……ズキッ……。
軋むように胸が痛んだのは羽鳥にキスをされたことが、悲しくてショックだったわけじゃない。
素直にどうしたらいいかわからなかったから。
羽鳥は“友達”という言葉では、収まりきらない程、あたしの中で大きな存在になっていったから。
羽鳥との関係が本当に壊れてしまうと思ったから。
だから苦しかった。
せめてもの救いのはサマースクールが終わった次の日が土日だったこと。
ぐるぐる考えて、きっと酷い顔をしている。
「だからって黙っているのは卑怯者よ?ハッキリさせなさいよね」
土曜日ずっと考えていたことを、今日お姉ちゃんに話したらズバリそう言われてまた落ちこんだ。
「ハッキリって……?」
「はぁ?」
お姉ちゃんは眉を上げる。