【続】俺様王子と秘密の時間
あたしの隣の席の黒澤拓海がまだ来ていなかった。
もしかして、この人も遅刻だったりして?
なんて呑気に考えていたら、はーちゃんが困ったような顔をした。
「シイは遅刻したから知らないのよね……」
「なにを?」
黒澤拓海がどうかしたの?
あたしと同じで、ただの遅刻なんじゃないの?
「もう居ないよ」
はい……?
コウちゃんがさらっと言う。
「今頃、飛行機の中なんじゃないかな?」
飛行機の中って?
なんのことか意味がわからない。
「シイは居なかったけど、ホームルームで西山先生からそのことについて説明があったわ」
はーちゃんは黒澤拓海の席に目をやる。
「学校、辞めたんだって」
「えっ?」
「辞めて、そんで種子島に帰るんだって」
コウちゃんの話にあたしは一瞬、なにも言えなかったと思う。