【続】俺様王子と秘密の時間


いつかの黒澤拓海との会話がプレイバックする。



『オレさぁ、金貯まったら高校辞めて一人暮らしするんだ。種子島で』

『種子島?なんで……?』

『オレの産まれ故郷だから』


黒澤拓海は種子島に帰ったんだ。

もうこの土地には居ない。

きっと二度とここには帰ってこない。

……そう思った。



突然のことに驚きながらも、あたしは教科書を机の中にしまう。


――カシャンッ


なに……?

机の中で物音がして手探りでソレを見つける。



「それ、なに?」


コウちゃんが聞いてくる。

あたしの机の中にあったのは一枚のMDだった。



「シイ、ソレ黒澤から?」

「わかんない……」

「オレ、MDプレーヤー持ってるから貸そうか?」


あたしはプレーヤーをコウちゃんに貸りて、MDを再生した。

 

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