【続】俺様王子と秘密の時間
「まっ。安心したわ。これでお母さん達も心配いらないわね」
タバコをガラスの灰皿に押し付けて、あたしを見てニコリと笑う。
ルージュが光る。
お母さんとお父さんは、あたしが元気になって前よりずっとずっと安心したと、電話で言っていた。
それを聞いて、胸がほころぶ。
「お姉ちゃん、もう行くの?」
「朝イチで会議なの。朝食、作っておいたからちゃんと食べなさいよ?いいわね?」
スーツの上着を羽織、ヒールに足を入れて、いつになくお姉ちゃん“らしい”顔つきをして見せる。
「行ってらっしゃーい」
朝食作ってくれるなんて、お姉ちゃんったらたまに優しいんだからぁー。
ドアが閉まりお姉ちゃんを見送ったあと、あたしはキッチンのわきにある朝食に目をやった。
「……」
お姉ちゃんが作ってくれた朝食は、まる焦げの目玉焼きと、真っ黒なトースト……。