【続】俺様王子と秘密の時間
そしてあたしの足が宙に浮いてしまうくらい、これでもかってくらい強く強く抱きしめる……。
「誰のモノにもなるなよ」
消えてしまいそうな声だった。
その瞬間この地球上にはあたしと羽鳥しか居ないような気がした。
それくらい羽鳥の気持ちがあたしにぶつかった。
「誰にも渡したくねぇんだ」
羽鳥があたしを見ていてくれたことをハッキリ伝えられると、嬉しいハズなのにそう思えなかった。
さっき図書室ではーちゃんが言っていた言葉が、あたしにグサグサと突き刺さる。
『アンタが好きなのよ。自分を見失う程にね?』
『あたし知ってたわ。シイに向けられてる羽鳥の優しさが、1年の時から誰より特別だって。あたしは気づいてたよ?』
ぐるぐるあたしの中を駆け巡っていく。
「シイ……」
あたしの肩を掴んでそっと離す。