【続】俺様王子と秘密の時間
近い距離であたしを見つめる羽鳥の瞳は、いつだって優しくて。
あたしを“シイ”って呼んでくれる声を聞くと何故か安心した。
この教室でいつもふざけて数えきれないくらい笑い合った……。
全部、羽鳥だったからあたしは嬉しかった……。
羽鳥の気持ちをどう受け取ったらいいか、あたしの気持ちをなんて伝えたらいいかわからない。
「羽鳥……」
声が震えるから痛いくらいに唇を噛みしめた。
「あたしね……」
あたしの気持ちを伝えようとすればする程、羽鳥をちゃんと見れなくて、溢れて泣きそうになる。
「泣くなよ……」
こんな時でさえ羽鳥は優しい。
あたしは今から羽鳥を傷つける言葉を吐くというのに。
「……あたし、こんなんだけど、一応、千秋の彼女なんだよ……」
傷つけることしか出来ないあたしを、それでも羽鳥はあたしに手を伸ばして頭を撫でてくれる。