【続】俺様王子と秘密の時間
「あたしじゃ不釣り合いなのはわかってるの……」
昨日、女の子にあたしは聞いた。
どんな女の子なら釣り合うの?って。
女の子は小馬鹿にするように笑うと、あたしに教えてくれたんだ。
『完璧な女の子よ』
あたしじゃダメだって言われたみたいだった。
完璧なんて誰が決めるんだろう。
「アイツと居ると辛いだけだろ」
「つ……辛くないもん……」
「嘘だな。辛いって言ってるようなもんじゃねぇか」
「辛くないったら!」
叫んでしまったのは否定出来ない気持ちの迷いがあったから……。
今の千秋の気持ちがわからない。
秘密な関係を止めてみんなにバレるのが怖い。
そんな利己的な考えを掻き消すように、辛くない辛くないってあたしは何十回も言い聞かせる。
「辛いならやめちまえ」
「やめ……きゃっ!」
羽鳥が再びあたしを引き寄せる。
羽鳥の指先から熱が消えていた。