【続】俺様王子と秘密の時間
「つか、シイ。学校サボって、なんで来たんだよ?」
羽鳥は聞きながらあたしの隣に腰をおろした。
それは……と、口の中で繰り返してもなかなか言えない。
「お前、オレに会いたくて来たんだろ?」
かぁあああああああ。
頬が赤くなっていくのが自分でも驚く程にわかった。
冗談っぽい口調であたしの目を見るように顔を傾けて言う。
濡れたウェーブの隙間から見えるイタズラな瞳が、あたしの目を見つめる。
けれど頬を染めるあたしを見て、切れ長の瞳が驚いていた。
「……バカ。冗談だっつの」
「……っ」
会いたくて来たってことを完全に否定出来ない。
言い訳も思い浮かばなかった。
「んな顔すんな。期待すんだろうが……」
戸惑っている声だった。
狭い部屋の中で羽鳥と肩がぶつかっている。
焦るあたしは必死に言葉を探したけれど、何一つ浮かんでこない。