【続】俺様王子と秘密の時間
「シイが好きだからシイのそばに居たい。ただそれだけだ」
どこまでも真っ直ぐな羽鳥の声が鼓膜を揺るがして、限界に近い気持ちが溢れて泣きそうになった。
「欲を言えばシイを独占してやりてぇよ……」
聞き取るのが精一杯な程に小さな声で言った羽鳥の言葉は、あたしの弱さと涙に拍車をかける。
いつもいつもいつも、羽鳥が与えてくれる優しさを当たり前に思って甘えていた。
「羽鳥ごめんね……」
ごめんねで済む問題じゃない。
これ以上気持ちを悟られたくなくて、あたしは羽鳥の腕の中から逃げると部屋を出ていった。
エレベーターのボタンを何度も押して開いた瞬間に飛びこんで、息があがる程に走って羽鳥のマンションを飛び出す。