【続】俺様王子と秘密の時間
外は曇り空が広がっていた。
まるであたしの気持ちそのもの。
「椎菜」
いきなり名前を呼ばれてあたしは顔をあげる。
「どうして……」
その人を視界に映すと一気に胸が震えた。
どうして千秋が居るの……?
千秋はあたしの前までやってくると、あたしの目線に合わせる。
「なんつぅ顔してんの?」
千秋の声を聞くと痛いくらいの切なさが胸を締めつける……。
あたし、きっとありえないくらい酷い顔をしてる。
「千秋、なんで……?さっきは、もう来なくていいって……」
そう言った千秋がどうして……?
「待ってたんだよ。やっぱりお前の顔が見たくなった」
ドキンッ……と鼓動が跳ねた。
唇を噛みしめてこみ上げてくる涙をグッと堪えた。
あたしの頭の後ろに手を回して、コツンとおでこを合わせてくる。