【続】俺様王子と秘密の時間
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あのどしゃ降りの雨の日。
千秋の後ろ姿が見えなくなっても動けずにいるあたしを、バイクで家の前まで送ってくれた羽鳥。
バイクの後ろに乗った時、ずぶ濡れの羽鳥の背中が暖かった……。
『やっぱりアイツ、ただのバカ王子だな』
あたしの家の前、正確にはお姉ちゃんのアパートの前にバイクを停める羽鳥がポツリとそう言った。
『お前にオレと居ろって、別れ話みてぇじゃん?おかしくね?つか、なんだっつんだよ……』
顔をしかめる羽鳥。
あたしには別れるってことも、あたしはもう千秋の隣に居られないってこともわかっていた。
羽鳥だって気まずいのか話し方がぎこちない。
『アイツさ、これ以上お前を困らせて泣かせて、自分と居るとシイが辛いだけだってわかったんじゃねぇの?』
水分を含んだ髪の毛をパサパサと振ると、羽鳥の切れ長の瞳があたしに突き刺さる。