【続】俺様王子と秘密の時間
今あたしが歩いている廊下は昇降口のすぐ側で、もうすぐホームルームが始まるこの時間に、生徒達はもう誰も居なかった。
ヒタヒタ……。
そして、突き刺さるような視線。
この視線、この足音。
あたしはついこないだも新館の廊下で感じたこの感覚に、背筋がゾグリとして身震いを起こした。
なんか……嫌な予感がする。
ゴクリと生唾を飲みこんだあたしは、恐る恐る後ろを振り返った。
「……美結ちゃん」
そこにはニコリと口元だけで細く微笑む美結ちゃんが立っていた。
心臓が騒ぎだす……。
驚いて目を開いたあたしは、鞄を落っことしてしまいそうになる。
「やだぁ、先輩。幽霊でも見たような顔しないでくださいよぉー」
クスッと笑うけど、タレ目がちな瞳は全然笑っていなくて、思わず美結ちゃんから目線を落とした。