【続】俺様王子と秘密の時間
美結ちゃんから後退りするようにあたしは二、三歩後ろへ下がる。
口元を広げて笑う美結ちゃんは、なんだか薄気味悪かった……。
「ホームルーム始まっちゃうよ?あたし…行くね……」
とにかくこの場から早く立ち去りたかったあたしは、美結ちゃんに背を向けて歩き出そうとした。
……その時。
「成瀬川 千秋……」
美結ちゃんの声を背中に浴びたあたしはピタリと足を止めた……。
ううん……。
止まってしまったんだ。
千秋の名前を口にした美結ちゃんの声は昨日聞いた時のように柔らかくなんかなくて、強く響いた。
あたしは再び、振り返る。
「美結の次のターゲットだよ?」
意志がこめられた低いトーン。
首を傾けてニコリと笑った……。