罪人ノ恋謌‐神ヘノ生贄‐
この国ではロイは権力者だ
権力者であるからこそ、リリアの【罪人】という終末を抹消できた
だが、リリアは何時殺されてもおかしくないと感じていた
ロイは、リリアに興味を持っているだけだと知っていたから
今、リリアの脳内に張り巡らされているのはどうやってこの城を抜け出すか
生き延びられたのは嬉しいが、このままだとリリアの命はロイの手の平で遊ばれてしまう
なにより、ウォルフを巻き添えにした事が気にかかっていた
段々と知らぬ間に眉間に皺がよる
するとウォルフに囁かれた
『気にしなくていいから。』
その言葉が、焦りきった心に染み渡る