罪人ノ恋謌‐神ヘノ生贄‐
◆I:罪人となりて
雨がしとしとと降っている
地面に、雨が斑模様を描いている
しかし雨の中、大人達は大急ぎで祭りの支度をしていた
もうすぐ、聖アグリル祭が行われる
聖アグリル祭は、罪人を神の前で裁き、神にこの町は平和だという事を見せる祭だ
大人達が急いでいるのにはわけがあった
そう、
今年の神の前で裁きが下る者が逃亡してしまったのだ
お陰で罪人はいない
つまり、この町のどこかに罪人が潜んでいるという事になってしまうのだ