遠い背中~大好きだよ先生~
5月選択授業が始まった。


新しくできた友達さき(高崎さき)も理科と国語を選んでいた。


さきも英語が苦手である。


そしてよく気が合った。


同じ理科になり2人で教室に向かった。


とりあえず決められた席に座った。


チャイムが鳴り席につく。


前には小さな先生が立っていた。




ガラガラ……


遅れて白衣を着た先生が入ってきた。


一瞬私は目が点になった。




えっ‥‥‥‥‥?


そこにいたのは川瀬先生の姿だった。


夢かと思った。


夢ならどうか覚めないでいて欲しかった。

夢じゃなかった。


私は理科が苦手である。


顕微鏡の名前すらわからなかった。


書けたのは『反射鏡』


それだけだった。


そして、先生が回ってきた。


「他は?」


「わからん。」


「反射鏡は書けてんな。」


「え?これはんしゃきょうって読むの?」


「何や思うてたん?」


「はんしゃかがみって読む思うてた‥」


ぷッ‥‥‥



先生が…目の前で笑った。


頭が真っ白になる。


私が言った事に笑ってる‥


こんなに近くで笑ってる。


「惜しかったな!!まー書けたからええやん」

「やろっ‥」


これが初めてできた共通点でした。

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