運命

今日も浮かない顔をしている。
あぁ、そういえば今日は古典の小テストだったな。
まぁ、僕からしたらどうでも良いが。

また今日が始まる。
繰り返される毎日がまた始まる。

高校の中の一番ブランドが高い霞ヶ浦高校に入学したが、到底僕の賢さにはついてこれていない。やはり、学校は『学』ばせてやる『校』舎にすぎなかった。

合格が決まった時、両親は心底喜んだ。僕はその姿に心底喜んだ。
人間は『高級ブランド』に対して異常なまでの関心を示す。
ならば、僕に関心を示させてやる。いや、示してやったのだ。

「どうせお前今日の小テスト余裕なんだろ」

友達が話しかける。うるさい。こいつは本当にうるさい。
文字にして18文字の言葉を発言する権利をこいつが持って良いわけがない。
それでも、仕方がない。『友達』というのはコミュニケーションが生み出す最高級ブランドだ、とどこぞの書籍で読んだ覚えがある。
こいつが最高級ブランドだというのには納得がいかないが、僕の高級ブランドコレクションの中の一つなのだ。その為には身を粉にして演技をするというのも僕の優れたる才能の一つ。

「いや、別に、余裕無いよ、君こそ余裕だろ」

完璧だ。いつ聞いても僕の返答は完璧だ。
ひらがなにして2,3,6,9。18文字に対して公約数で答えてしまった。
あぁ、僕はどうしてこんなにも賢いんだろうか。

授業のチャイムがなっている。

どうでも良いや。僕は賢い。

最高級ブランドが僕を置いて走って行った。