君だけのサンタクロース



帰り道、無言で歩く俺ら。

ゴローん家から俺らん家は近いけど、
今日はいつもより長く感じる。

その重い沈黙を先に破ったのは、
心春だった。



「リキ!みて、これ!」



心春は笑顔で、俺にあるものを見せる。




「昔一度だけ、この街でサンタさんにプレゼントもらったの。」




心春が手に持つ
瓶が夕焼けを反射して、眩しい。

それは10年前のあの日
彼女にプレゼントした物


心春、おまえ
ほんまは覚えてたん?






「サンタさんの正体、ゴロー君だったの!」







ほんまに 俺 んことは

覚えてへんかったんやな。




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