君だけのサンタクロース


「母は、あたしが今まで名前を傷つけた分、あたしで補おうとする。」



俺ら田舎モンとは、次元がちゃうねんな。

心春ちゃんのその姿勢は、いかにもお嬢様に見えた。



「きっとどんなことをしてでも、東京に帰させる。だってそうしないと、あたしを“観月”の姓から抜く事が出来ないもの。」
「どうして名字変える必要があるん?」



その俺の言葉に、見せた心春ちゃん表情は今まで以上に酷く悲しい物だった。



「あたしがただのゴミだから。」



人間じゃなく、ただの…ゴミ?



「…そんな」
「それが東京に帰らないといけない理由なの。」


さっきの表情を隠すように、にっこり笑う心春ちゃん。

でも、それ本当は『帰りたくない』って言ってるんやろ?




「だからね、リキを好きにならない。」




・・・なんやねん、それ。

そんなんリキが好きって言ってるようなもんやん。

リキと離れたくないって事やんか。


好きになったら離れるのが辛いから
…って聞こえるで?


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