君だけのサンタクロース
「おふたりさんアツアツやねー」
チャリンチャリンと自転車のベルの音が聞こえ、あたし達の横を八百屋のおじさんが清々しく通り過ぎて行った。
あたしとリキは目を合わせ、急速に頬に熱が飫肥て来るのが分かった。
はっと気が付いて周りを見渡せば、リキのお母さんお兄ちゃん達が家の窓から覗いていた。
しかも…ああ…、おばあちゃん。
庭にまで出てきて見なくても・・・。
顔の熱は覚めなくて、今更リキの胸の中にいることにどきどきしてくる。
「めっちゃ恥ずい」
なんて云ってる癖してリキはあたしを離さず、あたしの頭を胸に押さえ付けてまた強く抱きしめた。
リキの胸の中は、
抱きしめる腕は、
あったかくて大好きで、
いつまでもこうしてたいよ。
ぬくもりから離れ、辺りを見回すともう誰も見ている人はいなかった。