君だけのサンタクロース
「メリー…、クリスマス…」
声のする、部屋のドア前。
振り返ると、そこにはやっぱり君が恥ずかしそうに顔を背けて立っていた。
「偶然やな。俺もサンタに同じもん貰った。」
嘘つくのが、下手な彼がこんなにも愛しい。
彼の見せた薬指にも、あたしと同じ輝き。
同じ星が輝いていた。
「リキ、のばー、かっ」
泣きながら笑うあたしに優しい笑顔を見せて、ふわりと抱き締めた。
「もう、居なくならんように、」
耳元から聞こえる、君のその不安な声。
「首輪付けとけ、ってサンタが」
小さな声で“サンタさん、ありがと”と溢した。
もう迷子になんてならないよ。
この星がきっとあたしを照らしてくれるから。