君だけのサンタクロース
「ゔ、酔った…」
新幹線に揺られ電車に揺られ、乗り物が得意じゃないあたしにとって拷問のような長旅を終え、ポケットからメモ用紙を取り出すと駅の名前を確かめる。
「…マジで…ここ?」
着いた場所はド田舎。
見回しても見回しても、田んぼと空しか見えない。
「切符だしてな」
そう言われたままに駅員へ持っていた切符を渡すと、その駅員はあたしをじろじろと見回した。
「あんたどっから来たん?」
「…東京だけど」
駅員はあたしの答えに納得したらしく「東京モンはちゃうなぁ、やっぱり」なんて呟くと電車に乗り込んで行った。
改札口に向かおうとした、足を止める。
改札口がどこにもない。すぐ駅員に渡した切符の事を思い出して、そこで初めて此処が無人駅というものだと知った。
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