君だけのサンタクロース
「ホラ、あれが昨日来たっちゅう古谷さんとこの」
「古谷さんとこの!?えらい派手な子やなぁ。」
「ここだけの話、東京から追い出されてきよったらしいで?」
「古谷さんもけったいな預かりモンもらいよったな」
こんなことならやっぱり家から出なきゃよかった。
歩くたびに突き刺さる視線とヒソヒソ話。
しかもこの街の住民は異様に声がでかくて、すべて本人に丸聞声という大惨事。
どうやらここらの人達はあたしが追い出されたことも既に知ってるらしい。
まあ、でも気にしてないし、全然いい。
もう慣れてるからそんなことすら気にならない。
いくら歩いたって街らしい街にはたどり着かない。
右には田んぼ、左にも田んぼ。
そんな道を延々と歩き続けてる。
コンクリートじゃない土の道はブーツを履いてるあたしにとって、酷く歩きにくかった。