君だけのサンタクロース
「きれいだね、ここの星」
「どこも同じやろ、星なんて」
「東京には星が見えないから」
ここの夜空には幾千もの星が輝く。
綺麗で綺麗で、あたしが育った東京の汚さを表すようにキラキラ光っていた。
昨日逢ったばかりで初対面同然のリキにこんなに話しかけれるのは星のおかげかな、なんて。
「東京に、もっと星があればいいのに。」
東京の空はあたしをどんどん引き擦り込んでゆく。
追われて、追われて、逃げて、逃げて。
前も見えなくて、どこへ向かえばいいのかも照らしてはくれない。
輝くその目印もない。
見えるのはただ真っ黒ばかりだった。
あたしが居たのは真っ黒な場所ばかりだった。