君だけのサンタクロース
「いい子…なんか、じゃない」
…初めてだった。
例えそれが同情や嘘だとしても、人に「良い子」と言われたことなんかなかった。
親や教師、誰にだって不良品のレッテルが貼られたあたしは、
ただゴミ同然の存在だった。
よく友達と一緒に笑ってた。
良いより悪い方が気楽だと。
期待を裏切るようなことはないし、そもそも期待なんてさえれるはずがない。
プレッシャーだとか変なものに押しつぶされる不安もない。
たけど、
そんなあたしは
存在価値の無いちいさな心臓を持った、ただのゴミ。
「良い子」だといわれたとき、胸のどこかが弾けた。
すぐにあたしはすべてを否定した。
ちがう、ちがう、そんなんじゃない、って。
だって、ちがう
なにが良い子なわけ、あたしのどこが…わけわかんない。
でもね、それでも、すこし
うれしかった自分もいた。