君だけのサンタクロース
「心春、どうしたん?」
全部わかっとるくせにそうやって優しい声で聞くばあちゃん。
それでも心春は後ろにまだ隠れていて、言葉を発しない。
「はよ、いえ。」
振り向いたら下を向いて泣いとる心春がおった。
…アホやな、ほんまに。
心春の手奪って、繋いで、俺と並ばせた。
「ば、あちゃん、っ…ご…めんな、さ…」
昔と同じコイツがおることが、酷く嬉しく想えた。
「ばあちゃんちゃーんと分かってるから安心せえ。」
ばあちゃんはそう笑って、心春の頭を優しく撫でる。
「心春はええ子や。」
その言葉に心春は顔をゆっくりと上げて不思議そうにばあちゃんを見た。