君だけのサンタクロース
「…おこってない、の?」
「怒るわけないやろ?心春はばあちゃんの大切な子やからな」
心春が何を言ったかわからへん。
けど、ばあちゃんから色々聞いてたから大体予想は付く。
笑顔を亡くした理由も、
涙を亡くしてた理由も、
ほんまは、わかっとった。
たくさん傷ついてきたことも、
たくさん苦しんできたことも、
心春が来る前から想像しとった。
俺ん中にある昔の心春が大きすぎただけやったんやな。
昔ばっかに囚われて、今の心春を
しっかり見てへんかった。
俺は2人に気付かれないように、玄関を出る。