君だけのサンタクロース
「い…」
「い?」
怒りで震えるあたしをただ呆然と見るリキに向かって思い切り叫んだ。
「いきなり連れてきて行き先も言わず木に登るって言ったあんたが悪いんでしょ!しょうがないじゃない!運動靴持ってないんだから!東京東京東京って!あたしイコール東京なわけ!?いつまで経っても東京なわけ!?あたしだって好きで東京に産まれたんじゃないわよ!クソバカリキ!」
し…………しまった。
「…………。」
「…………。」
や…やばい。
そう直感で感じたあたしは思わずダッシュで走り出した。
そう、まさにいい逃げというものだろう。
だって、早く逃げなきゃ『おまえガチで殺ス!』って追いかけてきそうなんだもん!
そしたら簡単に捕まえられて、本当にシバかれる。あの人でも殺せそうな目で。
“クソバカリキ”は言い過ぎたかもしれないけど、でも本当に腹が立った。
彼の目には、
“東京の女の子”
としか映ってないような気がして。
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