君だけのサンタクロース
「よーしっ!今日は絶対登ってやるー!」
昨日ぶりのその木を目の前にして、あたしは力拳を作り、声を上げる。
気付いたのは、
あたしってこんな人間だったんだ、って事。
思い切り怒って、思い切り照れてたりなんかして、今は思い切り叫んでる。
ああ、そうか。
これが15歳の、本当のアタシなんだ。
自分でも信じれないくらい、こんなガキなことにお熱なあたしをリキはただ隣で笑って手を差し伸べた。
「も…っ!ムリッ…!」
「諦めるか?」
「それは…ッいや!」
木に登るという、その行為は簡単に思えて酷く体を酷使するものだと初めて知った。
リキは先にひょいひょい軽々と登っていき、あたしはリキの手を借りて必死に登ってゆく。
ずり落ちそうになったり、転げ落ちそうになったり。
その度リキはあたしの手を強く握り直してくれた。
「うわ、やばい!ってか今お尻触ったでしょ!?」
「触ってへんわ!触ってほしいなら言え!」
「馬鹿馬鹿!言うわけないでしょ!あ、今胸…」
「触ってへんわ!」
「・・・ちょっと待って。忘れてたことがあるんだけど。」
木登りを始めて10分経過。
目標地点近くまで登って安堵ため息をついた。
そして何気なく下を見るとあたしの血の気がサァァァと一気に引いていくのが分かった。
「高所恐怖症なのー!いやーっ!こわいー!」
少し涙目になったあたしを、リキは呆れ顔で見る。
“しゃあないな”ってリキが笑った瞬間、あたしの腰をリキの腕が思いっきり引き上げた。
「ひぁ…っ!」
引き上げたっていうか!抱き上げたんですけど!これ!