君だけのサンタクロース
「ちゃんと登れたやろ?」
「あ・・・ありがと・・・」
目的地となっていたその太い枝に座れば、あたしの足は宙ぶらりん状態。
そんなことよりも、まだリキの腕が腰に回っている事が気になって気になって仕方ない。
顔が近いことに無情にもドキドキ言う心臓に、紅が媚びてくる頬。
う…わ、ほんと
綺麗な顔してる。
伏せた瞼に長い睫毛。綺麗な肌に、通った鼻筋。
リキの形の良い唇が目に入って、さっきよりも大きく心臓が跳び跳ねた。
リキがいきなり視線をあたしに向け、そしてバチッと合った視線。
「す、まん…」
「ご、ごめんなさい…」
あまりにも至近距離な顔を互いが真っ赤な顔をして慌てて反らした。
…どうしよう、ほっぺがまだ熱いや。
その頬をリキから隠すように、視線を遠くに向ける。
そして、ふと目に入った景色に息が止まるかと思った。