君だけのサンタクロース



「なによ、このおんぼろ心臓は」



こんなに心臓が高鳴るのも初めてで、こんな気持ちも初めてだ。


リキに、恋…してるのかな

でも、それは無理なんだ

だっていつかあたしは
東京に帰らなきゃならない。



癖で煙草を取り出そうとした手を引っ込める。

もう2・3日煙草を吸ってない自分に今初めて気が付いた。

どうやらあたしは考え事をする時に煙草を吸う癖があるらしい。

でもなぜか今吸いたいとは思わない。

でもきっと、東京に帰ったらまた吸いだすんだろうな。そして煙を吐くと一緒にため息吐き出すに違いない。

東京に帰らないといけない理由は、簡単。

あたしが傷つけた名を復元させるため。それを優にもってくには…あたししかいない。

てっとり早い話、良い家柄の息子と結婚させる。同じ匂いのする、どこかの息子と。

そしたら観月の姓も抜けて、一石二鳥。


16歳になった途端、“ゴミ”の処理を始めるなんて、なんてせっかちな人なんだろう。


あたしの容姿は母親似らしい。お店でナンバーワンだった本当の産みの親と。

…もう死んだ、ってウワサで聞いたけど。




< 98 / 215 >

この作品をシェア

pagetop