君だけのサンタクロース
「なによ、このおんぼろ心臓は」
こんなに心臓が高鳴るのも初めてで、こんな気持ちも初めてだ。
リキに、恋…してるのかな
でも、それは無理なんだ
だっていつかあたしは
東京に帰らなきゃならない。
癖で煙草を取り出そうとした手を引っ込める。
もう2・3日煙草を吸ってない自分に今初めて気が付いた。
どうやらあたしは考え事をする時に煙草を吸う癖があるらしい。
でもなぜか今吸いたいとは思わない。
でもきっと、東京に帰ったらまた吸いだすんだろうな。そして煙を吐くと一緒にため息吐き出すに違いない。
東京に帰らないといけない理由は、簡単。
あたしが傷つけた名を復元させるため。それを優にもってくには…あたししかいない。
てっとり早い話、良い家柄の息子と結婚させる。同じ匂いのする、どこかの息子と。
そしたら観月の姓も抜けて、一石二鳥。
16歳になった途端、“ゴミ”の処理を始めるなんて、なんてせっかちな人なんだろう。
あたしの容姿は母親似らしい。お店でナンバーワンだった本当の産みの親と。
…もう死んだ、ってウワサで聞いたけど。