ハンソク★リレー the Last name(仮)
当事者ではなくて、傍観者である俺が、俯瞰的に観察していたからだろうか?

ふと、将棋やチェスなどのテーブルゲームにおいて後ろで見ていて口を出した事を思い出した。

そうだよなサッカーの試合をTVで見ていて、もどかしくおもったことは何度もある。無責任な遠い位置からリラックスした状態で見るというのは・・・

など、余計な事を考えながら俺はイライラを筋道を立てながら理屈で、ねじりつぶして消し去ろうとしていたが、だめだ。

だめ。イライラする。なにコイツ。

さきほど取り外した一部始終をなにげなく1回見ていただけなのにもかかわらず俺には、留め金具の構造は手に取るように分かっていたんだ。

これが若さゆえの好奇心によるものなのか、はたまた俺には、モノの構造や仕組み、機構部分、可動部分を見抜く、いや、把握する能力が人よりも長けているやもしれん。センス。一言で言えばそういうものなのか。特殊能力者な私。おほほ。


さて、

このまま、そんな風におかしな角度に力を架けすぎると留め金具は壊れてしまうぞい。

そう思った俺は「ここ、こうじゃないっスか?」とついには的確なアドバイスを謎の男にした。

謎の男は最初、それがまるで聞こえなかったようにプイと無視し、我が道をひとしきり進んだ後に、

どうせ無理に決まってるこのド素人が、これの持ち主ボクなのね。といわんがばかりの、やや、やる気のない怠慢な、それでいて人を小馬鹿にしたような、おちょくった動作で俺の提案した方法を採用し、それに従った。

パッキーーン。あせる。あっけなく金具はパッカリ開いてしまった。

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