地味子の秘密 其の壱 VS黒羽の大妖怪
彼女たちがいなくなったので、口調が変わる陸。
「違うよ。だけど・・またいつか、こういう日が来るんだもん。
今日、済ませたかった。」
「何?俺が来たのメーワクだった?」
寂しそうな声に、顔をあげる。
「っちがうっ!・・・ありがとう。」
それだけ言うと、また俯いた。
本当はボコられるのって痛いし、キライ。
陸が来てくれて助かったと思ってる。
冷静を装いながらも、怖さはあった。
助けてくれたことが嬉しいんだけど、素直にいえない・・・
俯いているとふわりと甘い香りがした。
ギュッと抱きしめられる。
陸に抱きしめられて初めて自分が、
震えていたことに気づいた。
「怖かったな? よく我慢した。」
頭を優しく撫でられる。
心の中でこみ上げてくる物があり、
思わず陸のシャツをつかむ。