地味子の秘密 其の壱 VS黒羽の大妖怪
その間も、頭を撫でる手は優しかった。



陸の腕の中に閉じこめられる。



でも気持ちよくて


”ずっと、このままがいい・・・”と思ってしまった。







しばらくして陸が腕を離し、顔をのぞき込む。



「大丈夫か?」


目線を合わせ、頷く。



いつの間にか、体の震えも収まっていた。



「・・・・杏。」



名前を呼ばれ、見上げる。


優しい瞳で、それでも甘い熱を持ったまま見つめられる。




トクン・・・トクン・・・



胸が甘い音を鳴らす。


頬が熱くなり目がトロンとしてきた。






「・・・・背中に蛙ついてるぞ。」




優しい口調であたしに爆弾を落とした。
< 312 / 628 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop