地味子の秘密 其の壱 VS黒羽の大妖怪
手首を持つ手に力が入った。
「いやっ………はなっ…して……」
「黙れ!」
低い声で黙らされる。
痛いっ……!
………怖いっ………陸が怖いっ…
「………っく………いや…………ヒク………」
あたしの泣き声が聞こえたのか、陸の動きが止まる。
一瞬の隙をついて離れた。
「………ヒク………陸………怖い………」
涙が止まらないあたしを抱きしめようと手をのばす。
パシン………!
陸の手を払いのけた。
「触んないでっ!……っ陸なんて………キライっ!」
涙が頬を伝うまま叫び、VIPプールを出た。
扉を閉め、ズルズルと座り込む。
「・・・ひっく・・・」
怖かった。陸じゃないみたいで・・・
本当に怖かった・・・・
あたしはしばらくそこで泣いた。