地味子の秘密 其の壱 VS黒羽の大妖怪
電話らしく、ずっと鳴りっぱなし。
どうしよ・・・出た方がいいの?
出たいような出たくないような・・・
っもう、出ちゃえっ!!
ピッと通話ボタンを押し、耳に当てる。
「・・・もしもし?」
向こうにいる陸に話しかける。
「・・・・・・・」
黙っているのか何も聞こえない
「陸・・・・・?」
「ごめん・・・・杏」
呼吸を10回繰り返したあと、やっと聞こえた声。
ごめんって・・・今日のことだよね?
なんて返そうかと思っていたら・・・・・
電話の向こう側の救急車の音と、自分の部屋から聞こえる救急車の音が重なり合って聞こえた。
え・・・なんで?
まさかと思いながらもカーテンを開ける。
「うそっ・・・・」
気づいたときには、部屋を飛び出し外に出ていた。