地味子の秘密 其の壱 VS黒羽の大妖怪
自販機で紅茶2つと、コーヒーを1つ買う。




まだちょっと暑いから、冷たいのにした。





飲み物を抱えながら病室に戻る。




「あれ?…先生は?」



病室に先生の姿はなかった。



「あれ?会わなかったの?
なんかね用事が出来たみたいで帰っちゃったよ。」



柚莉が教えてくれる。



「そっか…会わなかったなぁ…」



戻って来るときも、誰にも会わなかった。



柚莉の病室は個室で他の病室より離れたところにある。




だから行くまでのルートはあんまりなくて、限られてるんだけど……





急いでたのかなぁ〜?




買って来た紅茶の1つを柚莉に渡し、封を開けて飲む。


口いっぱいにレモンの香りが広がる。



「…ねぇ…なんで杏樹だとわかったのかな?」



紅茶を飲みながら柚莉が聞いてくる。
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