地味子の秘密 其の壱 VS黒羽の大妖怪
コンコン……
「はい?」
部屋の入口からドアを叩く音がした。
誰だろう…?
家族なら私の返事の後、入って来る。
不思議に思ってドアに近づた。
カタン……
ドアを開けて顔だけを出し、誰かいるのかを確認する。
「あれ…?誰もいない……」
廊下を見ても人の気配はなかった。
「…変なの」
ドアを閉めてベッドに戻ろうと振り返った。
「…っ!?」
もう寝ようとしていたので、部屋の電気は小さなオレンジ色が一つだけだった。
部屋の中を暖色な光りが照らす。
その中に、闇に紛れるようにして佇む人がいた。
『これはこれは…こんばんはお嬢さん』