地味子の秘密 其の壱 VS黒羽の大妖怪



一呼吸入れる。



一回目をつむったあと、もう一度微笑んだ。





「………だけどね、いつも助けてくれてありがとう」



「いっつも言えなかったからね…………今まで、ありがとう」




今までの感謝を込めて、伝えた。




「杏……………?」



眉間にシワを寄せて、あたしを見下ろす。











「ね!ちょっと頭下げてっ!」


「は?」


「良いから良いから♪」




笑顔で押し切り、陸に頭を下げてもらった。






近付き、自分の首からネックレスを外して、陸の首につける。






「はい、出来た♪」




あたしの声に、顔を上げる。


「……これ……」




「うん。陸のものでしょ?……………お返しします。」
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