地味子の秘密 其の壱 VS黒羽の大妖怪
すーっと、靄(もや)がかかっていた空気が澄んでいく。
知らず知らずの内に、妖怪達に汚されていた。
「……本当に、杏樹君で大丈夫なのか?」
理事長が口を開いた。
陸を見ていた祖父は振り返る。
「…まぁ…まだまだ未熟者じゃが………力においては、父親を軽く超えておる。」
「…柚莉を連れて帰って来てくれるんだろうな?」
「心配せんで良い。あれには、全てを幼い頃から叩き込んである。
簡単には、負けん」
誇らしげに言うので、理事長も納得した表情になる。
「わしらは、信じて待つのみじゃ…」
杏樹が消えた辺りを祖父は眺める。