地味子の秘密 其の壱 VS黒羽の大妖怪
ピチャン………
歩く度に、水音が鳴る。
周りは真っ暗で、何も見えない。
「……仕方ない。暗視術使うか…」
こめかみに手を当て、呪文を唱える。
目を開けると
いくらか明るくなり、周りの景色が開けた。
全身の神経を研ぎ澄ませながら、注意深く奴らの気配を探す。
一歩踏み出す。
その時だった。
ピチャンと水音がしたと思うと、黒い翼を持つ妖怪の大群が地上から躍り出る。
「…またですか!」
目の前には、動物の形をした妖怪達………
馬、牛、羊、猿、蛇、虎、猪…………
「十二支…?」
思わず呟く。
「…血を…肉を…よこせぇ―!」
雄叫びを上げながら、一斉に襲い掛かって来た。