地味子の秘密 其の壱 VS黒羽の大妖怪
嘗められたところからも、毒が埋め込まれていく。
ビクンと
体が痙攣を起こした。
『もっと…もっと…よこせぇ!』
腕を押さえていた男達も、あたしの腕を引っ掻き溢れた血を嘗めた。
視線だけを動かす。
大群の妖怪達が“自分も”と獲物を狙う目で見ている。
初めて妖怪が“怖い”と感じた。
いやっ…!
触んないでっ!!
男達が鋭い爪と犬歯を皮膚に立てた。
あちこちが痛すぎて、もう声も出せない。
それでも、首筋や心臓…急所に手を出さないのは、奴があたしの血肉を望んでいるからだ。
柚莉を帰さなきゃ来た意味がないっ……!
痛みを気力で紛らせて叫んだ。
「万魔供服(ばんまきようふく)――――――!」