地味子の秘密 其の壱 VS黒羽の大妖怪
手摺りにつかまりながら、ゆっくりと登っていく。
呪詛が体を蝕み、思うように動けない。
5段…階段を登ると
目眩が襲って来る。
休み休みで上がるしかない………
下を見ると、あたしの血が、床に点線を描いていた。
「…ヘンデルとグレーテルみたい………」
彼等は、家に帰るために石やパンを道に落として行ったけれど………
現代のあたしは“自分の血”だ(笑)。
「これがあれば、柚莉は血をたどって帰れるはず…」
あたしが側に居なくてもね………
「………着いた。ここだ………」
一つの扉の前に立つ。
木で出来ていて、細かい細工がほどごしてあった。
髑髏(ドクロ)を男が掲げ
笑っている絵だった。