地味子の秘密 其の壱 VS黒羽の大妖怪
静かに、もう諦めたというような憂いを含んだ目で、
クロノスを見つめた。
「…あたしが、嫁になれば
柚莉はちゃんと帰してくれる…?」
抑揚のない口調で、聞いた。
『…もちろんだ。
学園にいる生徒全員にも手は出さない。
お前が俺のものになるならな』
それを聞いて安心した。
深呼吸を一つする。
「杏樹………?」
不安げな顔をあたしに見せる柚莉。
“大丈夫”
“貴女だけは必ず護るから…!”
思いを込めて彼女に向かって微笑んだ。
奴の方を向き、告げた。
「……………わかった。
嫁になるよ………………………」