地味子の秘密 其の壱 VS黒羽の大妖怪



『そうだ……こっちへ来い……』



手を伸ばして来る。






ゆっくりと、呼吸を整えて

歩み寄る………





『…良いよな………

さすが極上だなぁ……


早く俺を愉しませてくれ……


一生側に置こう……』




奴が、両手を差し出す。



柚莉に繋がれていた紐が解け、自由になった。



「…杏樹ッ……ダメっ……イヤァ――――――!!」




泣きながらあたしを見つめる。





込み上げて来るものを押し殺して





奴の腕の中に収まった。













『―――――堕ちた!』




クロノスが歓喜の声を上げる。




黒い翼をバタバタと、ばたつかせて

あたしを抱きしめた。
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