地味子の秘密 其の壱 VS黒羽の大妖怪
「杏……樹……っ……い……や……っ………!」
声にならない悲鳴を上げて、あたしを凝視する。
クロノスがあたしの体で弄ぶ中
柚莉に目配せをした。
“あたしから離れて!”
強く…光を携えた目で訴える。
何かを感じ取ったのか、柚莉はそろそろと後ろに下がり出す。
あたしから充分な距離を取ったことを確認した。
大丈夫。
これなら柚莉は、この部屋から出られる。
確信したあたしは呼吸を整えた。
横に向けていた顔を真っ正面に戻す。
「…やっぱり………
陸とは違う…………」
『は……?何言って………っ!?』
クロノスの顔が強張った。