地味子の秘密 其の壱 VS黒羽の大妖怪



「杏……樹……っ……い……や……っ………!」





声にならない悲鳴を上げて、あたしを凝視する。






クロノスがあたしの体で弄ぶ中




柚莉に目配せをした。



“あたしから離れて!”





強く…光を携えた目で訴える。





何かを感じ取ったのか、柚莉はそろそろと後ろに下がり出す。





あたしから充分な距離を取ったことを確認した。



大丈夫。

これなら柚莉は、この部屋から出られる。






確信したあたしは呼吸を整えた。






横に向けていた顔を真っ正面に戻す。








「…やっぱり………




陸とは違う…………」




『は……?何言って………っ!?』




クロノスの顔が強張った。
< 581 / 628 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop