地味子の秘密 其の壱 VS黒羽の大妖怪
衝撃が収まった頃には
クロノスは居なくなっていた。
「………終わった?」
辺りを見渡すが
先程まであったまがまがしい妖気は一掃されて
心地良い風が頬を撫でた。
「柚莉っ…!」
部屋の入口に向かうと
疲れた表情の柚莉が横たわっていた。
「…杏樹…?」
あたしに手を伸ばしてくる。
「う…っん……!…あたしだよ…!」
視界が歪みながらも、手をしっかりと握った。
「…柚莉?……帰ろうか……?」
「うんっ……」
泣きながら頷いた。