地味子の秘密 其の壱 VS黒羽の大妖怪
「…顔をあげて…?
君がいなかったら、柚莉は生きて帰っては来られなかった。
本当に…ありがとう」
少しずつ上げると
笑顔の理事長がいた。
その微笑みに安堵して、あたしも体から力を抜く。
「悠っ…!!」
グシャグシャな顔で、相澤君に抱き着く柚莉。
「…おかえりっ…柚莉っ……!」
力いっぱいに柚莉を抱きしめる。
その光景を見て、
微笑ましくなったと同時に
やっと仕事の全てが片付いたんだと思った。
人間安心すると、動くことをやめるみたい……
床に根が生えたように身体が動かない。
次第に、寒気が押し寄せる。