地味子の秘密 其の壱 VS黒羽の大妖怪
「…よかったぁ…柚莉ちゃん…」
「無事で何よりだな…!」
周りが柚莉の帰還を喜ぶ中………
一人だけは、杏樹を見ていた。
「……杏……?」
先程から下を向いたまま、ピクリとも動かない。
不思議に思って近付く。
「…杏……?」
名前を呼んでも返事はない。
嬉しさで泣いてるのかと思ったが、違うらしい……
傍に膝を折って座った。
「…杏?…どうした…?」
右肩に触れ、少し身体を揺らした。
「………………。」
ドサッ
彼女は無言のまま、床に倒れた―――――。
「…杏……?………杏っ?………………杏っ!!?」