地味子の秘密 其の壱 VS黒羽の大妖怪
驚き、すぐさま杏樹を抱き抱える。
「あ…ん……?」
床から抱き上げると
何故か彼女のカーディガンが湿っていた。
「雨にでも濡れたのか…?」
そう呟き、自分の手の平を見た。
「…………………ウソだろ…?」
手の平を濡らしたものは………
雨によるものではなく
彼女自身の血だった………………
今日の彼女は、黒のカーデを着ていたので…わからなかった。
「…杏…?…しっかりしろ………!!!」
腕の中にいる彼女の意識を必死に引き戻す。
陸のただならん様子に、徐々に周りも気付き出す。
杏樹の下には、血の海が出来ていた。
「おいっ……あれっ…!」
「床が血だらけじゃないかっ…!」